便秘の予防や解消の基本は生活習慣の改善ですが、場合によっては便秘薬による治療が必要な場合があります。今、病院で処方される便秘薬にはどんな種類があるのでしょうか。たくさん飲むほど効くの?薬を飲むときに気を付けることは…?第4回は、薬の種類や注意点のほか、便秘と向き合う心構えについてお伺いします。
- 病院で処方される便秘薬について教えてください。
- 便の中の水分を調節して柔らかくするタイプ(浸透圧性下剤、上皮機能変容薬、膨張性下剤など)と、腸を刺激して排出を促すタイプ(刺激性下剤)があります。おおまかには、便が硬くて出にくい場合は水分を調節するタイプ、腸の動きが鈍くなっている場合は腸を刺激するタイプになります。ただし、便秘の原因はさまざまですので、便秘薬の種類や組み合わせは、患者さんの身体の状態も踏まえて総合的に判断されます。詳しくは医師や薬剤師にお尋ねください。
- 薬をたくさん飲めば、それだけたくさん出るのでしょうか?
- 病院で処方される薬は、効果と安全性の両面から、1回に飲む量が決められています。必ず説明を受けた量を守って飲むようにしましょう。「トイレの後にスッキリしないから」「たくさん出るような気がするから」といった理由で、薬の量を増やすのは絶対に避けてください。なお、飲んだ後におなかが痛くなった、気分が悪くなったなど、気になる症状が出た場合は飲むのを止めて、すぐに医師か薬剤師に相談してください。また、飲む量を減らしたり、飲まなかった日がある場合も、忘れずに伝えましょう。
- 便秘薬はいつまで飲み続けるものなのですか?
- 便秘薬の効果が認められる場合は、生活習慣の改善は続ける一方で、薬の量を減らしたり、止めたりすることがあります。その時の身体の状態次第ですので、必ず医師、薬剤師に確認してください。
また、便秘の症状が重い場合に緊急避難的に飲むタイプ(頓用)もあります。このタイプは飲み続けると薬の量が増えたり効果が薄れてしまうことがあるため、本当に必要な場合に限り一時的に飲むことが前提となっています。どういう種類かを意識せずに「なんとなく飲み続けてしまった」ということにならないよう、注意してください。どの薬でも、決められた回数や量を守ることが大切です。
出すことだけを意識せず、気長に向き合う
新しく出来た医療従事者向けの診療ガイドラインでは、便秘の定義に「快適かどうか」という点を盛り込んでいます。快適さは、「回数が増えた」「痛みを感じなくなった」など、人によって違うと思われますが、「出すこと」だけが治療の目標にならない様に、という意味が込められています。便秘の治療中はどうしても「今日は出なかった」「良い形ではなかった」などと考えがちですが、自分が一番先に解決したい悩みは何かという点も意識してみましょう。「これなら納得できる」というゴールを主治医と相談しながら、気長に便秘の解消を進めていってください。