ここでは、日本人の排便事情について明らかにしていきます。
日本人は、週に平均6.9回排便している
まず、週に何回排便しているか、その頻度を調べた結果を図1に示します。週に3~7回と答えた人たちが多数であり、全体の平均は週に6.9回でした。しかし、週に0~2回と少ない人たちも8.4%存在しています。一方、8回以上の人たちも25.0%存在していました。より詳しく調べてみると、女性の方が男性よりも回数が少なく、とくに20代の女性は週に5.1回でした。
週に0~2回 8.4%
週に3~7回 66.6%
週に8回以上 25.0%
調査人数:5,155 名(男性 2,542 名、女性 2,613 名)
図1. 日本人の排便頻度1)
日本人の便の形は様々である
つぎに、主にどのような形の便が出るか、便の形状について、英国で開発されたブリストル便形状スケール(図2)を利用して、硬便、正常便、軟便にわけて調べた結果を図3に示します。排便の頻度が様々であったように、正常以外の形の便が出ている人々が少なからずいることがわかります。
■正常便
1型:うさぎの糞のように硬くてコロコロした便
2型:ソーセージ状だが、固まりの多いでこぼこした便
■硬便
3型:表面にひび割れのあるソーセージ状の便
4型:なめらかで柔らかいソーセージ状、あるいは蛇のようなとぐろを巻く便
5型:やわらかい半分固形の便
■軟便
6型:やわらかく、ふわふわした泥状の便
7型:固まりのない水のような便
水分量は1型が最も少なく7型が最も多い
O’Donnell LJ et al.: Br Med J. 300(6722): 439-440, 1990 より改変
図2. ブリストル便形状スケール
硬便 19.3%
正常便 67.6%
軟便 13.1%
調査人数:5,155 名(男性 2,542 名、女性 2,613 名)
1)より作図
図3. 日本人の便形狀
多くの日本人は排便に問題を抱えている
また、ほとんどの人たちが、快適に排便ができているという訳でもないようです。私たちの調査によれば、排便時に、「いきみ」などの排便困難感を伴う人たちが54.8%と半数を超え、排便後の残便感がある人たちも36.5%いることがわかりました(図4)。現代の日本には、排便に何らかの問題を抱えている人たちがある程度存在している実態が浮き彫りになりました。
排便困難感
あり 54.8%
なし 45.2%
残便感
あり 36.5%
なし 63.5%
調査人数:5,155 名(男性 2,542 名、女性 2,613 名)
1)より作図
図4. 日本人の排便に伴う症狀
排便のことはなかなか他人には言いづらい、自分だけの秘めごとである場合が多いと思います。今回の調査の結果をみて、自身の排便について客観的にとらえることができ、新たな発見があったのではないでしょうか。もし、排便で困っていることがある場合は、一度、私たち医師のもとを訪れ、相談してみるのも良いでしょう。
- 参考・引用文献
- 1) Reprinted from J Neurogastroenterol Motil 2016;22(4):677-685. with permission
- 調査の概要
- 調査機関:株式会社マクロミル
調査対象:20 ~79 歳の日本人集団
調査方法:2014年8月に15,000例を対象にインターネット調査を行い、回答が得られた5,155例(男性2,542例、女性2,613例)を分析した。調査は、日本内科学会とRome IIIの診断基準にしたがって独自の質問票を作成し行った。年齢層・性別の解析は、日本の人口統計を反映させて行った。